デジタルカメラ

2010年8月13日 (金)

EOS用シフト付きハッセルマウントアダプター試写2

大阪市内には、記念的な建物や気になる「物件」が数多くありますが、軍艦アパートをはじめとして、徐々に失われつつあります。難波の新歌舞伎座も解体工事を待つばかりです。
これまでも新歌舞伎座は何度か撮影にトライしましたが、思うような写真は撮れませんでした。新しいシフト機材が完成し、その撮影スタイルに感触を得はじめたので、試してきました。
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シフトレンズを取付けたEOSにハッセルの蛇腹フードを取付けると、ムービーカメラのような外観です。4枚合わせを前提にしたフレーミングは難しく、外付けファインダーとしてライツの逆像ビドムを使用しています。しかし、製造後70年経ってこんな使われ方をされようとは考えてもいなかったでしょう。150mmレンズの場合、ヘクトール7.3cm用の刻みに合わせて使っています。

長辺方向のシフト状況です。
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17mmのシフトで、センサー上では2mmのオーバーラップがあります。

短辺方向はマウントのオフセット分、センター位置が5mmズレています。
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ライズ・フォールさせるときは、ボディの重さを相殺するように手でフォローしながら動かさなければなりません。

建物の角を縦位置で4枚合わせ、HDR作成中のpsbデータです。
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ファイルサイズが大きく、際限なくレイヤーを重ねるようなことはできないので、撮影対象そのものも明暗比の大きいものは避けています。

蛇腹フードの効果は十分あるようですね。ゾナーの切れ味が堪能できました。三脚は、軽いカーボン三脚(ジッツオG1228LVL)を用いたのですが、風さえなければ使えそうです。

2010年7月29日 (木)

EOS用シフト付きハッセルマウントアダプター試写1

先日、シフトアダプターの試用がてら、前から気になっていた長堀橋の「装甲ビル」を撮影してきました。
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レンズはゾナー2.8/150mmです。4枚合わせにすると、35mm判に換算して75mmくらいかと思います。シフトは長辺方向に+−17mm、短辺方向に+−11mm、4枚合わせでHDR作成ですから、いままでの倍は時間がかかるうえにフレーミングがとても難しくなってしまいました。

遅くなるので1カットのみで帰宅。さっそくC1で現像してチェックしました。
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まずは8秒露出の4枚を選び出してPhotoshopに展開してみます。

左下の一枚のキャンバスを4倍に拡大して残り3枚を配置します。
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一見、ズレがあるように見えますが、これはシフト量のばらつきです。問題となる合わせ目のズレは感じられません。

合わせ目を拡大表示してみましょう。
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差の絶対値で表示してもほとんどズレがありません。シフトアダプター自体の精度が問題ないことは、この一点だけでもわかります。精度に問題がある場合、合わせ目のどちらかがボケたりします。レンズは周辺までシャープで、周辺減光もありません。しかし、周辺部の光源にはすこしパープルフリンジが出るようです。また、ゾナーレンズ全般に言えることとして、十分にハレ切りをしてやることが必要です。

早速、HDRに仕上げてわずかにパース調整してみました。レイヤーを保ったままでは軽く2Gを超えるファイルサイズなのでMacBookごときには荷が重い作業です。
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500%拡大状況です。これはハト除け金具でしょうか。

2010年7月20日 (火)

EOS用シフト付きハッセルマウントアダプター製作記5

今回の製作では、前板部分に三脚座を設けることが重要なポイントでした。タイリング撮影をする場合、そのメリットは計り知れないのですが、通常のシフトレンズなどでは重いボディを支えられないため無理でした。
三脚座と前板をつなぐエプロン部分です。
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なりゆきで形状を決めましたが、必要十分な強度が確保できました。

三脚座は、がっしりとしたものを簡単に取り外しできるように工夫しました。
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横にシフトさせると縦方向のノブが三脚座の切り欠きに収まるようになっています。

なんとか完成です。
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動きはなかなかスムースです。

これから試写してきます。

2010年7月 7日 (水)

EOS用シフト付きハッセルマウントアダプター製作記4

さて、パーツがそろったら塗装します。
本当はアルマイトをかけたいのですが、またの機会にチャレンジしたいと思います。各パーツは脱脂・乾燥のうえ、マスキングして棒の先に吊るしてうす塗りを重ねます。
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塗装は、簡単でアルミに食いつきの良いグラファイト系塗料を使いました。

塗装後の仮組状態です。
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かなり動きに難がある状態ですが、このままレンズを付けた状態をチェックしていきます。

装着レンズはFゾナー2.8/150mmです。このレンズは意外に軽いもので、660gほどでした。外観はプラナー2.0/110mmと同じですね。
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EOS5DⅡに装着すると、計算通り僅かにオーバーインフを示します。当初は、各部の動きに引っかかりがあり、まともに動かない状態だったので、アリ溝のクリアランスをゆるく調整していのですが、それが逆にシフトギアとの平行度を崩して、動きを悪くしていました。まあ、そのシビアさの原因はシフトギアが「片持ち」状態にあることですから、Zoerkのシフトギアの位置のほうが理にかなっていたようです。見た目は片持ちのほうがカッコいいのですが。

まだ完成ではありません。

2010年6月27日 (日)

EOS用シフト付きハッセルマウントアダプター製作記3

今回、旋盤作業はEOSマウント部分だけでした。
シフトレンズのパーツの一部をフランジに仕立てているところです。
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このフランジにKenkoのTマウントアダプターを加工したマウントをホローセットで接合します。フランジの斜め段差は脱落防止のためです。写真には写っていませんが、Tマウントアダプターは天体望遠鏡などに一眼レフカメラを接続するアダプターです。

こちらはハッセルの中間リングのマウント部分をピラニアソウで切断しているところです。
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マウント下端をぎりぎりまでカットしています。

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マウントの形を整えて、前板にネジどめします。ご覧のとおり、中心部から上方に5mmオフセットしています。シフトギアがぶつかってしまうために苦肉の策です。

こちらは中間板の仕上げ工程です。
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フライス盤で削った後、精度を高めるため、定盤上に水ペーパーを敷いて研いでいます。要となるパーツなので、ノギス測定で各方向の端部で2/100mmの精度がでるまでがんばります。しかし、本当はノギスではあまりアテにはなりませんが。

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二枚を交差させて合わせ、接着・ネジどめします。ちょうどガイドとなるネジ穴があるので正確に合わせられます。しかし、2mmくらいまで薄く削ったのでネジで締めると歪みが出てしまいます。そのため、嫌気接着剤を用いずに、ゆっくり固まるエポキシでネジをすこしづつ締めながら調整していきます。

2010年6月26日 (土)

EOS用シフト付きハッセルマウントアダプター製作記2

これからシフトアダプターの主要な部分を加工していきます。
このシフトアダプターの目的は、簡単にいうと、フルサイズセンサーで4枚合わせのタイリングを可能にしたかったからです。マミヤシフトの40mmのシフト量(両方向に20mm)と10度刻みのレボルビング機能を生かせばなんとか実現可能です。しかし、そのためには正確に対角線の角度にまわしてシフトさせないとダメで、10度刻みでは間にあわないうえに操作が煩雑になりそうです。そこで、テクニカルカメラのような縦軸と横軸の動きをさせたいと考えました。

シフト(スライド)する部分です。
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左がオスのアリ溝で、遮光のテレンプが貼付けられています。右がメスのアリ溝で、もとはこちらがマウント側です。これを2セット用意して、前板、中間板、後板の三つのパーツを作っていきます。

私のフライス盤は、大判カメラで有名なトヨが製作販売していたML-360という旋盤のミーリングアタッチメントを外して、専用のXYテーブルを取り付けた卓上用のものです。現在、トヨはサカイマシンツールという社名になっていますが、生産工場は韓国に移っています。

こういう個人工作用の小型機械は、30年くらい前は高価なヨーロッパ製のほかは、手の届く範囲では日本製のエミニか台湾製のものくらいしかありませんでした。トヨやプロクソンが登場するのはもっと後です。私が高校の入学祝いに買ってもらったのはエミニの旋盤で、当時の原付バイクより高かった記憶があります。エミニは手元にありませんが、懐かしくなってネット検索してみるといまも売られていました。

現在は、台湾や中国大陸製の小型機械が信じられないくらい安価で売られています。日本製の同じ大きさの機械の1/3から1/5くらいの価格でしょうか。その内容は安かろう悪かろうの典型ですが、カメラのレンズ一本買う値段で旋盤もフライス盤も揃ってしまうのは魅力です。トヨも海外ではかなり安く売られているようです。

おすすめは、できることなら工場から放出された中古の汎用機械を専門業者から買うことです。国産の小型機械を買う値段で汎用機械が買えてしまいます。ただし、自宅に数トンの重さに耐えるコンクリートの床と三相電源が必要です。

マンションやアパートでは、自力で運べて家庭用電源で動かせる小型機械しか選択肢はありませんから、当たり外れのある中国製を選ぶか、メンテの楽な日本製や高級なヨーロッパ製を選ぶか悩みどころです。また、中国製のものなどをベースに日本で整備された小型機械を扱うメーカーもありますから予算次第というところです。

フライス盤は、プラ段で囲って畳の上で使っています。当然、こんな使い方はよろしくありませんが、作業が終わったら押し入れに収納できます。
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フライス盤にセットして前板を目的の厚みまで削っています。筆先で切削油を塗りながら、少しずつ削っています。こういうミニマシーンは非力で剛性も低いため、無理はできません。鉄工所でみかける汎用フライス盤に比べれば雲泥の差ですが、モノは使いようで2/100mmくらいの精度はだせます。

これはフライカッターで内側に段差を付けています。
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前板が削り上がった状態です。
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ツール痕が残っていますが精度は問題ありません。ここにハッセルのマウントが取り付きます。

2010年6月25日 (金)

EOS用シフト付きハッセルマウントアダプター製作記1

アポ・コンポノン90mmをシフトレンズ化する計画でしたが、事情によりやめました。そのかわり、汎用性の高いハッセルマウントのシフトアダプターを作ることにしました。同様のアダプターは、Zoerkを持っているのですが、次回作の目的のためにはこれ以上加工を重ねても無理なので、新たに自作することにしました。しかし、複雑なシフト機構を一から自作するのは時間がかかるため、既存のユニットを利用することにしました。
その素材がジャンク品として手に入れたマミヤシフト75mm F4.5Wです。
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これを使おうと思った理由は、67用のシフトレンズですから、1kg以上あるレンズを40mmもスライドできる丈夫なアリ溝構造と、ケラレの起きにくい大きな内径を備えているからです。でも一番の理由は、安価なジャンク品が出回っていることでした。このレンズはいまだ現行品なのですが、レンズ後群が曇りやすいため、中古価格の下落とともに、そうした曇り玉がジャンク扱いで売られていることが多いようです。

さてレンズから必要なユニットを取り出してみましょう。
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レンズ後端のフード状のリングをゴムシートで締めながらグイとまわすと、マウントが緩んで外せますが、強く固着している場合はかなり難儀します。

カニ目工具で奥まったところを緩めると、シフトユニットが取り出せます。
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面倒なフレキシ配線は切断してしまいました。

シフトノブを分解してみると、意外に細いギアが取り付けられていました。
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ピニオンギアではなくて単純にネジをくるくるねじ込んでいく方式です。Zoerkと同じですが、リリース機構がないので多条ネジで早送りを実現しています。

これが主要なパーツです。
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これから加工していきます。

余ったレンズユニットです。
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欲しい人に差し上げます。

2009年6月 5日 (金)

Rodagon 80mm Shift

ながらく更新できなくてすみませんでした。けれど工作と撮影はぼちぼちとやっています。

自作レンズの新作です。先の135mmに続いてローデンストックの引伸しレンズ、ロダゴンの80mmです。
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ライツの複写アタッチメントのヘリコイドをハッセルマウントに加工して、中にロダゴンを組み込んでいます。

組み込んだロダゴンは新旧の80mmです。
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本当は、ずっとアポ・ロダゴン80mmを探していたのですが、中古がみつかることはありませんでした。右の旧型は総金属で、レンズ構成は似ていますが、コーティングは現行のロダゴンにみられる濃いマルチコートにくらべてマゼンタ系の薄いコーティングです。現行品と思われるロダゴンは新品同様のものを入手できました。

さて、ロダゴンの実力はどんなものでしょうか。印象レベルの解説しかできませんが、ハッセルのプラナーとすこし比較してみましょう。
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これは、先日プラナーで撮影したHDR作品です。もちろん左右分割で4000万画素相当、段階露光したレイヤーのコンポジットですが、さらに二層のピント送りを入れたのでレイヤーは左右で30枚ほどにもなりました。

比較は、青枠で囲った部分の300%比較のみですが、3本の中心部付近の傾向は見てとれると思います。左からプラナー、旧ロダゴン、現行ロダゴン(と思われる)で、ともに絞り8、露光時間20秒のデータをCapture One現像しました。なぜか、現行ロダゴンだけ明るい露出傾向ですが原因不明です。撮影日が離れているのだけが原因ではないようです。
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プラナーはさすが解像力、コントラストともに優秀ですね。旧ロダゴンはともに劣りますが、古いレンズとは思えない実力です。現行ロダゴンは、予想通りのすばらしい実力です。引伸しレンズなのに撮影用レンズであるプラナーとくらべて遜色ない表現力です。解像力は見た目プラナーと同等か、見方によってはそれ以上かもしれません。

周辺についての印象は、広い良像面を有するプラナーにくらべて、周辺に向かって徐々に落ちるロダゴンは像面の平坦性が良好で扱いやすいです。プラナーは、私の個体だけかもしれませんが時としてピントが悪いことがあります。一度まともなプラナーを試してみたいですね。

一段明るいプラナーはその表現力の多彩さが魅力で、ロダゴンの魅力は端正さでしょうか。結局優劣は付けられません。ロダゴンにはアポ補正された上位が存在しているので、機会があれば試してみたいですね。

2009年4月15日 (水)

Zoerkパノラマシフトアダプター

重宝しているドイツ製のシフトアダプターですが、英語表記のZoerkで検索するとwebがみつかりました。
しかしこのアダプター、いくつかの問題点があって使いにくいものでした。私のはハッセルレンズをニコンマウントに変換するアダプターですが、まずハッセルマウントが異常に固くてレンズが入りにくい、レボルビング機構にガタがでる、レンズのセンターが真上に来ないので角フードだと斜めになってしまう、ストロボ内蔵ボディには使えない、インフがあわない、などなど、いったんは使い物にならないと判断してお蔵入りしていたものでした。

片シフト20mmを両方向11mmに変更して余分をカット、ガタの原因のレボルビング機能は半固定とし、正位置をリバースさせ、マウントの調整など、いろいろと改良の結果、初代キスデジにも装着可能となりました。
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一番苦労した部分。
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レボルビング固定したまま正位置でEOS1DⅢ系にマウントするために、ぎりぎりまでカットしてABS板で傷防止のスペーサーを加えてあります。

プラナーに逆被せできる丸フードも製作しました。テープを巻き付けて太らせたレンズキャップを装着すると落下しません。
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ニコンのHB-22というフードとハッセルの60径フードから取り外したリングを合体しています。
さて、レンズ触ってばかりいないで撮影に出かけなければ。

2009年3月31日 (火)

水没プラナー

以前紹介したドイツ製のシフトアダプターを改良してみました。組み合わせたのはハッセルのCFプラナー2.8/80mmです。外観は極上品でしたが、シャッター不動のためジャンク価格でした。レンズの状態は少しバル切れの兆候がありますが、曇りもありません。
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そこで、自分で修理しようと持ち帰ったのですが、分解しようとしてもカニ目の工具が歪んでしまうくらい固くて分解できません。そこで固着した部分にシンナーをたっぷり染ませて一晩置いておいて、翌朝にはなんとか分解できました。そしてレンズシャッターユニットを取り出し、リグロインに漬込んでおいたのですが、まったく動きそうにありません。

とりあえず分解してみると、シャッター幕は見事に錆びて溶けていました。残念。
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絞りのほうはなんとか生きていましたので、普通絞りとして復活させることができました。

まあ、用途としてはシフトアダプターに装着することでしたから、問題はありません。アダプターのロック部分のアップです。V型のレバーで巧妙に固定・解放されます。
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元は片方向の20mmシフトでしたが、使いやすくするために両方向に11mmずつのシフトとしました。三脚座や余分な部分は切り落とし、ロック部分の位置を下げてあります。
センター位置。
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下方に11mm。
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上方に11mm。
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早速、試写してみました。例によって左右のタイリング撮影です。HDRではなく、DPP現像した画像をフォトショップつなぎ合わせ、レベル調整だけしてあります。

門真南の歩道橋です。f8、10秒。
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部分アップ。
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同じく歩道橋。f8、30秒。
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部分アップ。うーん、すごい質感描写です。
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道路工事現場の配電盤。たしかf4、15秒。
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部分アップ。配電盤内部のメーターに2146と打たれた番号が読めます。
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画面からは伝わらないかもしれませんが、いままでデジタルカメラに使ったレンズの中では、最高の描写を示しています。
国産レンズなどとくらべて解放付近のコントラストがやや劣ります。拡大してみると、100%くらいまではコントラストの高いレンズのほうがシャープに見えることがありますが、200%、300%とあげていくと、並の解像力のレンズはボケていきます。一見甘く見えたプラナーのほうは、ちゃんと解像しています。解放付近でもハロっぽさのなかにもちゃんとピントの芯があるという感じです。絞り込んでも良いのは言うまでもありませんが、f11以上は回折限界でピントが悪くなります。諧調表現も、レンジが広くなめらかに感じられます。HDRにする必要が感じられませんでした。

とにかく、ピントのあった部分の立ち上がり方はぞくっとする感じです。空気感や質感も際立っており、なぜ、こんなに違うのか不思議なくらいです。フィルム時代にはこの事実に気がつきませんでした。

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